日本臨床救急医学会雑誌
Online ISSN : 2187-9001
Print ISSN : 1345-0581
ISSN-L : 1345-0581
原著
救急連携クリニカルバス運用による多職種連携
―病院前から初療現場で情報共有・診療の可視化を行う試みとして―
織田 順行岡 哲男内田 康太郎東 彦弘服部 和裕野中 勇志鈴木 智哉東 一成大高 祐―浅川 典子
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2011 年 14 巻 1 号 p. 14-21

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抄録

治療や手順の標準化を図る目的で,クリニカルパスが導入され普及してきている。救急活動票を,情報がフイードバックできる形に改訂した救急連携パスを作成し,救命救急センターに導入した。25隊の救急隊の協力を得て,5ヶ月間で434症例に適用した。病院前からERにおける情報共有というアウトカムは達成されていた。229例(52.8%)が救命救急センター入院例で, うち37件(16.2%)にコメントの記載があり,さらにその11件が病院選定関連コメントであった。救命救急センター入院例以外についてのコメント件数は35件(17.1%)で,うち16件が病院選定関連コメントであった。救命救急センター入院例・外来死亡例・帰宅(外来のみ)例・転送例以外では,院内における最終転帰が救急科以外となるため,院内における追跡を要した(49例,11.3%)。コメントは院内の症例検討会・安全会議の際に多職種による振り返りの対象とした。多重記載を多重確認に変え,情報を共有し,フイードバックを書面で蓄積することにより,より精緻なMCにも貢献すると考えられる。

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© 2011 日本臨床救急医学会
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