日本臨床救急医学会雑誌
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総説
わが国の小児三次救急医療体制の現状と課題
櫻井 淑男
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2011 年 14 巻 3 号 p. 399-404

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抄録

わが国の1~4歳児死亡率が他のOECD先進諸国に比較して高いのは周知の事実である。厚生労働省研究班による全国1~4歳児死亡小票調査や,埼玉県医師会による小児救急患者救急車搬送調査から,小児重症患者の集約化が不十分であることが明らかとなった。また,埼玉県小児心肺停止患者搬送調査から,小児心肺停止患者の病院前救護の診療内容の改善の必要性が認められた。一方,長い問,小児集中治療医や小児集中治療室(PICU)が必要であることが行政を含めた小児医療関係者には理解されず,小児重症患者の受け皿であるべき小児集中治療室は未発達のまま欧米に比して遅れてしまった。このようにわが国の小児救急医療体制は,「救命の連鎖」のすべての面で改善すべき余地を残しているが, とくに小児重症患者の集約化のための11党送体制と,その受け皿となるべき小児集中治療室の整備は,早急に解決すべき問題と考える。

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