2011 年 14 巻 3 号 p. 405-409
目的:山口県における救急搬送中の心停止の実態を調査し,その改善策について検討する。方法:県内の全消防本部で2年間に発生した救急搬送中の心停止事例について調査した。結果:心肺蘇生実施患者総数は2,410人で救急搬送中の心停止は154人(6%)。自己心拍再開は41例(27%),生存退院は20例(13%)。傷病の内訳は心疾患が61例,外傷16例,呼吸器疾患15例,脳血管疾患11例,他。覚知から心停止までが19±9分,心停止から病院到着が13±11分。搬送中心停止の要因として重症,救急救命士による救急救命処置の限界,長い搬送時間が挙げられた。搬送中心停止を防ぐ方策としてドクターカーやドクター ヘリの運用,救急救命士の処置拡大が挙げられた。結論:救急搬送中の心停止を防止するために,医師の救急現場派遣や救急救命士による救急救命処置の拡大など,地域の実状を考慮 した救急医療システムの構築が重要と考えられた。