日本臨床救急医学会雑誌
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原著
救命救急センターにおける早期人工呼吸器関連肺炎の意義とその危険要因の検討
高橋 雪子布施 ひとみ永田 万結木下 幸保定光 大海
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2011 年 14 巻 3 号 p. 410-414

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抄録

救命救急センターにおける人工呼吸器関連肺炎(ventilator-associated pneumonia: VAP)の現状および,病院到着時心肺停止(cardiopulmonary arrest on arrival: CPAOA)症例の早期VAP発症の危険因子を検討するため,当院救急部外来を受診後に集中治療室で48時間以上陽圧人工呼吸管理を受けた患者を後ろ向きに調査した。「VAPなし」,「早期VAP」,「晩期VAP」の3群間の挿管日数,在室日数を比較すると,「早期VAP」は「VAPなし」の約1.5倍,「晩期VAP」は「VAPなし」の約2倍であった。CPAOA症例における気管挿管の時期別の早期VAP発症者数は,初療室で食道閉鎖式エアウェイ(esophageal obstractive airway: EOA)から挿管チューブヘ入れ替えを行った15例で4例,救急隊によって気管挿管されてきた11例で0例,初療室で気管挿管された4例で1例であった。このことから初療室でEOAから挿管チューブヘ入れ替えを行う症例では,早期VAP発症のリスクが高くなる可能性が示唆された。また救急救命士による気管挿管は,早期VAP予防につながる可能性が示唆された。

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© 2011 日本臨床救急医学会
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