2011 年 14 巻 4 号 p. 534-535
急性心筋梗塞の典型的症状は狭心痛である。痛みは時に背部,頸部,顎,歯などに放散するといわれている。われわれは,口因頭痛を主訴とする症例を経験した。37歳男性が急に喉の痛みを生じた。生命徴候に異常がなかったため上気道炎と判断し,内科医が当直する2次病院へ搬送した。しかし,急性心筋梗塞と診断され専門病院に転送となった。専門病院で行った血管造影検査で右冠状動脈の100%狭窄を認め,血管形成術を施行され独歩退院となった。傷病者が突発した頸部より上位の痛みを訴え,炎症所見に乏しい場合は,虚血性心疾患の可能性を考慮して救急活動を行う必要がある。