日本臨床救急医学会雑誌
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調査・報告
ライフセーバーの事故対応に関する実状と課題
―海での溺水事故に対するプレホスピタルケアの意義―
中川 儀英青木 弘道日上 滋雄辻 友篤渡辺 泰江山本 利春小峯 力稲垣 裕美猪口 貞樹
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2011 年 14 巻 6 号 p. 649-655

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抄録

目的:ライフセーバーの活動調査から,国内海水浴場における水難事故の実状とライフセーバー活動の意義を明らかにする。方法:日本ライフセービング協会(JLA)が2003年から2009年に行った国内海水浴場でのライフセーバー活動調査を検討した。結果:おもな活動は,ファーストエイド(FA)平均15,000件/年,レスキュー1,700件/年であった。レスキューが必要となった要因は離岸流が44%で多かった。海中で溺れそうな利用者を,資器材を利用し陸地に移送する安全移送は1,560件/年,溺者への対応は125件/年で意識障害をきたす前に救助した。心肺蘇生(CPR)施行は8件/年で,病院前心拍再開(ROSC)率は42%であった。FAではクラゲ刺傷の処置(45%)が最も多かった。結論:ライフセーバーがかかわった,わが国の水難事故の実態が明らかになった。ライフセーバーは水難事故のプレホスピタルケアの重要な担い手といえる。

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© 2011 日本臨床救急医学会
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