日本臨床救急医学会雑誌
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症例・事例報告
関節リウマチ
―急激に悪化した発熱症例―
鈴木 一郎浦山 雅和鈴木 均前川 重人藤峯 拓哉
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2012 年 15 巻 3 号 p. 450-454

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抄録

70歳代の女性症例を報告する。本例は関節リウマチを60歳時に発症し,約3年後より当院整形外科で加療していた。疾患修飾性抗リウマチ薬,ステロイド薬などによる治療を行い,約12年間は多関節痛の自覚症状が主体で病変進行は緩徐であった。この間に頸椎環軸関節亜脱臼を認めたが,脊髄症状は発症しなかった。しかし,ステロイド内服薬の減量後,脊髄症状が現れると同時に,心外膜炎,胸膜炎併発を認めた。ステロイド内服量を一気に増大すると,心外膜炎,胸膜炎だけでなく脊髄症状も改善した。約1年後に胸膜炎再発で入院したが,ステロイド薬の追加,増量を行わずに治療し,軽快退院した。しかし,直後に高熱を生じ,ショックに陥り,呼吸器症状が悪化して,2日間の経過で死亡した。関節リウマチ患者が高熱を発症した場合,急性呼吸不全などの臨床症状が遮蔽されている可能性があり,急変する危険性と緊急性を考慮した積極的な診察,対応が重要である。

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© 2012 日本臨床救急医学会
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