日本臨床救急医学会雑誌
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原著
市民による反応のない傷病者―とくに院外心肺停止傷病者の呼吸状態の評価
福島 英賢奥地 一夫渡邉 知朗伊藤 真吾川井 康之関 匡彦瓜園 泰之藤岡 政行畑 倫明今西 正巳
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2012 年 15 巻 4 号 p. 485-490

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抄録

目的:一般市民が認識する異常な呼吸を明らかにし,死戦期呼吸との関連を検討する。方法:奈良県下の6消防の救急通報記録のなかから,反応のない傷病者の呼吸状態の記録があった254例を対象とし,救急隊傷病者接触時の状態と医療機関搬送時病名との関連を後ろ向きに検討した。結果:「いびき呼吸」の96例が最多で,「呼吸はしている」,「呼吸がない」,「呼吸しているかわからない」や「呼吸が弱い」など,さまざまな呼吸の異常が通報されていた。院外心肺停止(CPA)事例では,「呼吸がない」が最も多かった(26例,33%).「いびき呼吸」は非CPA事例に多く(88例,50%),「呼吸はしている」は非CPAとCPAでほぼ同じ割合であった。また,CPA事例のうち,心電図初期波形がVF/VTであった10例中,4例が「いびき呼吸」であった。結論:市民による評価のうち,「呼吸がない」,「呼吸はしている」,「いびき呼吸」には死戦期呼吸が含まれていたと考えられる。

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© 2012 日本臨床救急医学会
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