日本臨床救急医学会雑誌
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原著
シミュレーターを用いた救急救命士によるBone Injection GunTM骨髄内輸液路確保手技について
一小児・乳児への有用性と課題―
諌山 憲司平川 昭彦中谷 壽男
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2012 年 15 巻 5 号 p. 635-640

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抄録

はじめに:救急救命士の小児への静脈内輸液は困難と考えられる。目的:従来の用手ネジ式骨髄針よりも簡便とされるBone Injection Gun(BIG)による小児・乳児への骨髄内輸液(IOI)の有用性と課題を検討する。対象と方法:救急救命士(130名)を対象に,訓練用BIGと下肢モデル(①成人,②小児,③乳児)を用いIOIの所要時間を測定し,成功・不成功を判定した。BIG使用法の説明後,デモンストレーション行い,対象者はゴム手袋を装着し,全員が練習と本番を各1回,①②③の順で実施し,アンケート調査を行った。結果:所要時間と成功率は,成人29.0秒で90.8%,小児28.6秒で91.5%,乳児29.1秒で79.2%と,乳児の成功率は有意に低かった。考察:BIGによる小児へのIOIの有用性は示唆されたが,乳児への実施は成人・小児と比較し成功率が低く,穿刺部位選定も難しいことから慎重に検討する必要がある。

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© 2012 日本臨床救急医学会
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