2012 年 15 巻 5 号 p. 652-661
目的:一般に心肺機能停止傷病者の発生は冬季に多いことが知られており,消防庁救急統計活用検討会でのデータの集計結果でも明らかになっている。本研究では心肺機能停止傷病者の救急搬送件数が多くなる冬季に注目し,そのなかで特異的に件数が高く集積している期間があるかどうかを客観的に判断するために解析,検討を行った。方法:2005~2008年の日本全国において救急搬送された心肺機能停止傷病者の救急蘇生統計データを用い,性別,心原性・非心原性の別などについて集計を行い,12~1月の期間に注目し,発生の有意な集積期間があるか時間集積性の検定を行った。結果:いずれの年も,男女ともに年末年始時期に最も有意な時間集積が認められた。また,心原性・非心原性とも同様の集積があり,原因による差は認められなかった。結論:わが国における心肺機能停止傷病者の救急搬送件数が,年末年始時期に統計的に有意に集積していることが明らかになった。