日本臨床救急医学会雑誌
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症例報告
ワクチン接種にもかかわらずインフルエンザウイルスA型と肺炎球菌性肺炎の重症肺炎を呈した1例
山田 尚弘辻本 雄太佐藤 瑞樹三田 法子鈴木 有大佐藤 精司武田 健一郎瀬尾 伸夫森野 一真
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2013 年 16 巻 1 号 p. 35-39

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抄録

83歳女性。23価肺炎球菌ワクチンを約13か月前に,3価インフルエンザウイルスワクチンを約3か月前に接種した。数日前から咳嗽と喀痰が出現したため,近医を経て当センターヘ紹介搬送された。インフルエンザウイルス迅速診断キットでA型陽性,尿中肺炎球菌夾膜抗原陽性であった。画像検査上両側びまん性の浸潤影が認められ,急性呼吸不全の状態であり人工呼吸器管理とした。インフルエンザウイルスA型と肺炎球菌の重複感染による重症肺炎と診断して集中治療室に入室とし,抗インフルエンザウイルス薬,抗菌薬の点滴静注を開始した。Airway Pressure Release Ventilationで酸素化の改善が認められた。第15病日に抜管し,第45病日にリハビリ目的に転院し,後遺症なく自宅退院した。ワクチン接種をしていても, インフルエンザウイルス感染に肺炎球菌が重複感染して重症化する可能性があることを念頭におくべきである。

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© 2013 日本臨床救急医学会
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