2013 年 16 巻 1 号 p. 40-43
目的:敗血症例においてwhole body CT検査の意義を後視的に検討すること。方法:2011年4月から10月までの間,敗血症例で培養検査により起炎菌が同定できたものを対象とした。結果:対象は5例(男1例),平均77.8歳であった。来院時の主訴は全例責任病巣の推定に役立たず,whole body CT検査を施行していた。責任病巣として5例中3例は腎盂腎炎,1例は腸腰筋膿瘍,残り1例は扁桃周囲膿瘍であった。5例のうち3例は外科的な処置の適応があった。Whole body CT検査は,責任病巣の検出以外に併存している感染症の検出や易感染性となる基礎疾患の示唆が可能であった。結語:敗血症例に対するwhole body CT検査は,とくに意識障害や主訴で感染源を絞れない場合,敗血症の感染源同定,感染源に対する治療方針の決定,また易感染性となる基礎疾患の検出,合併臓器障害評価に関する有用性が示唆されたが,さまざまな問題もあり今後前向きの調査が必要である。