2013 年 16 巻 2 号 p. 126-130
62歳男性。膵炎,糖尿病,高血圧の既往あり。搬送の2日前から脱力,黒色嘔吐があり,インスリンを注射せずスポーツ飲料を飲んでいた。症状が改善せず前医に救急搬送となったが,初療中に痙攣を生じ当院に転院となった。来院時,意識レベルJCS 300,頻呼吸,頻脈であった。糖尿病性ケトアシドーシスと誤嚥性肺炎と診断した。胃洗浄でコーヒー残渣様の排液を確認し,緊急上部消化管内視鏡検査を施行,黒色食道の所見から急性壊死性食道炎と診断した。痙攣は高血糖,低ナトリウム血症に起因すると考え,禁食,補液,血糖コントロール,プロトンポンプ阻害剤投与などの保存的治療を行った。第4病日の内視鏡再検で食道粘膜の改善を認め経口摂取を開始,第6病日に転院となった。急性壊死性食道炎は糖尿病,とくに糖尿病性ケトアシドーシスを合併した症例が報告されており,コントロール不良の糖尿病患者の上部消化管出血では鑑別として本疾患を考慮すべきである。