日本臨床救急医学会雑誌
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原著
大動脈解離(Stanford B型)に合併する呼吸不全を初療時に予測できるか
坪田 貴也吉原 克則伊藤 博佐藤 大輔一林 亮鈴木 健也横室 浩樹本多 満池田 隆徳
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2013 年 16 巻 2 号 p. 59-63

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抄録

目的:大動脈解離のStanford B型は保存的加療が主体であり,予後は比較的良好と いわれているが,呼吸不全を併発することも多く,時には人工呼吸器管理が必要となることもある。保存的加療を行ったB型解離に合併する呼吸不全を初療時に予測できるか検討した。方法:2006年から2011年までに当院で保存的加療を行ったStanford B型の大動脈解離(N=58)を対象とした。呼吸不全の定義はP/F(PaO2/FiO2)値<150もしくは人工呼吸器が必要となったものとし,呼吸不全を呈した群をR群,呈さない群をN群とした。結果:R群23 例,N群35例であり,6名に人工呼吸器を使用した。初療時のバイタルやCTでの解離形態に差は認めなかった。FDP,Dダイマー,自血球数がR群で有意に高値であった。考察:大 動脈解離において,線溶系高値例では呼吸不全を合併する可能性があり,とくに厳格な管理が必要であると考えられた。

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© 2013 日本臨床救急医学会
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