日本臨床救急医学会雑誌
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原著
救急・集中治療におけるバンコマイシン(VCM) 血中濃度管理への専任薬剤師の関与
安藝 敬生樋口 則英中川 博雄中村 忠博田崎 修槇田 徹次北原 隆志佐々木 均
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2013 年 16 巻 4 号 p. 565-569

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抄録

集中治療における患者の薬物動態は,急性の腎・肝・心機能の低下などに伴い多様に急速に変化するため,薬剤部内で医師の指示から投与設計を行うだけでは,効果的なバンコマイシン(以下VCM)の投与設計を行うことは困難である。今回,集中治療室・救命救急センターに常駐する専任薬剤師が,患者の状態変化や治療方針をVCM の投与計画に迅速に反映することで,VCM 血中濃度治療域の維持率がどの程度向上できたか解析を行った。介入群では,VCM血中濃度治療域の維持率が有意に高く,治療薬物モニタリング(therapeutic drug monitoring,以下TDM)実施率も上昇した。専任薬剤師の初期投与計画への関与や,患者の状態変化などを把握したうえでの投与方法の提案により,適切な血中濃度が得られたと考える。急性期のTDM に積極的に専任薬剤師が介入する必要があることが示唆された。

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© 2013 日本臨床救急医学会
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