抄録
鈍的腸間膜血管損傷の検出に関するmultidetector row computed tomography を用いたCT angiography の有用性についての報告は少なく,海外で4 編,本邦で1 例の報告が認められるのみである。今回,回結腸動脈のvasa recta 損傷をCT angiography により描出し得た鈍的外傷症例を経験したので報告する。症例は20 歳女性。交通事故により受傷し,当センターに救急搬送された。CT angiography では回結腸動脈末梢のvasa recta に造影剤の血管外漏出像を認めた。緊急開腹術の結果,画像所見と一致する回腸末端にvasa recta からの活動性出血を伴う腸間膜損傷を認め,結紮止血術を行った。自験例では,CT angiography による腸間膜末梢血管損傷の描出が可能であった。またその際,薄いスラブ厚を用いた最大値投影法(thin slab MIP)が有用であった。