日本臨床救急医学会雑誌
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調査・報告
救急外来トリアージの質を向上するための課題
―アンケート調査結果の分析―
島尻 史子岡本 健西村 あをい今度 さやか澤井 香子斉藤 伊都子森川 美樹寒竹 正人田中 裕
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2013 年 16 巻 6 号 p. 802-809

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抄録

近年,救急外来トリアージへの関心が急激に高まっているが,その実態は明らかではない。今回,救急外来トリアージの現状と,トリアージの質向上のための課題を明らかにする目的で,全国の救急医療440 施設にアンケート調査を行った。有効回答158 施設(36%)中,トリアージ実施施設は79 施設あった。ガイドライン使用施設は52 施設(66%)だったが,標準ガイドラインの使用は17 施設(21%)のみだった。トリアージナースの選定要件や養成体制は施設間で差がみられた。事後評価システムをもつ施設は30 施設(39%)だったが,その半数で定期的な事後評価や明確な評価判定基準がなかった。本調査結果の分析により,救急外来トリアージの質を向上するためには,トリアージ方法の標準化の推進,トリアージ施行者の能力の担保および事後検証によるフィードバック体制の確立が今後の課題であると示唆された。

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© 2013 日本臨床救急医学会
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