日本臨床救急医学会雑誌
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症例報告
失神を伴った肺塞栓症の5例
藤井 公一宮武 諭石山 正也大木 基通冨岡 秀人加瀬 建一小林 健二
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2014 年 17 巻 3 号 p. 478-480

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抄録

2011年1月から2013年1月の2年間に,肺塞栓症と診断され失神を伴った5例について,その特徴を診療録より後方視的に検討した。平均年齢73.6歳。2例は随伴症状を認めなかった。来院時のvital signsは,収縮期血圧低値1例,頻脈2例,SpO2低値1例であった。D-dimer 値は全例で上昇していた。心電図異常4例,心エコー検査による右心負荷所見は全例で認めた。治療は全例で抗凝固療法が施行され,うち1例に血栓溶解療法が施行された。失神を伴わなかった肺塞栓症患者12例との比較では,平均年齢が高く(p=0.045),右心負荷所見を認める割合が高かった(p=0.049)。心エコー検査とCTを施行するまでの時間は,失神を伴っていた患者で長くなる傾向がみられた。失神を伴う肺塞栓症患者は典型的症状に乏しく,心エコー検査やD-dimer測定は失神患者の原因検索としても有用である。

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© 2014 日本臨床救急医学会
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