日本臨床救急医学会雑誌
Online ISSN : 2187-9001
Print ISSN : 1345-0581
ISSN-L : 1345-0581
症例報告
肺炎球菌ワクチン接種後に難聴と敗血症様反応を呈した一例
青木 誠村田 将人金子 稔澤田 悠輔神戸 将彦萩原 周一中村 卓郎大山 良雄田村 遵一大嶋 清宏
著者情報
ジャーナル フリー

2014 年 17 巻 5 号 p. 699-703

詳細
抄録

症例は60歳代,男性。近医定期受診日に全身状態問題なく,肺炎球菌ワクチンを接種された。同日夜間より39度台の高熱が出現した。2日後には両側性の難聴も併発し,近医を再受診した。白血球数の著増を認め,当院を紹介受診した。ワクチン接種部の蜂窩織炎による敗血症と考え抗菌化学療法を開始した。その後全身状態に改善を認めたが,蜂窩織炎以外に明らかな感染源は不明であった。肺炎球菌ワクチンによる重篤な全身反応,敗血症様反応は本邦でも数例報告されているが,難聴を呈した例の報告はない。今後,肺炎球菌ワクチン接種に関わる医療従事者は接種により重篤な副作用を生じうる可能性を十分に理解する必要がある。

著者関連情報
© 2014 日本臨床救急医学会
前の記事 次の記事
feedback
Top