抄録
目的:救急隊は院外心肺停止傷病者を救急現場から救急車まで搬送する際に,主にメーンストレッチャー,サブストレッチャー,布担架を用いるが,サブストレッチャー,布担架での搬送は,その特性から胸骨圧迫を適切に実施することが難しい。「サブストレッチャー,布担架で搬送した場合(布・サブ群)の院外心肺停止の転帰は,メーンストレッチャーのみで搬送した場合(メーン群)に比べ悪い」という仮説について検証した。方法:平成21(2009)年7月からの半年間に,東京都において発生し医療機関に搬送された院外心肺停止症例(5,751例)を布・サブ群とメーン群に分類し,心肺停止一カ月後の脳機能良好生存率を比較した。比較はカイ2乗検定とロジスティック回帰分析で行った。結果:全分析対象では,メーン群と布・サブ群に一カ月後脳機能良好生存率に有意な差はなかった。一カ月後生存率は,メーン群が,布・サブ群より有意に良く(p<0.05),ROSC(return of spontaneous circulation before hospital arrival,心拍再開)は,2群に有意な差はなかった。心原性心肺停止では,一カ月脳機能良好生存率においてメーン群と布・サブ群に有意な差はなかった。ROSCと一カ月後生存においては,メーン群は,布・サブ群より有意に良かった(p<0.05)。結論:サブストレッチャー・布担架で搬送した場合の一カ月脳機能良好生存率は,メーンストレッチャーのみで搬送した場合と比べ有意な差は認めなかった。心原性心肺停止に限るとメーンストレッチャーのみで搬送した場合の一カ月後生存率およびROSCは,サブストレッチャー・布担架で搬送した場合と比べ転帰が良いことが確認できた。