日本臨床救急医学会雑誌
Online ISSN : 2187-9001
Print ISSN : 1345-0581
ISSN-L : 1345-0581
調査・報告
山梨県におけるJPTECTM普及の取り組みと消防職員におけるJPTECTMプロバイダー資格取得の現状
岩瀬 史明松田 潔岡本 優司石原 武司宮崎 善史小林 辰輔松本 学大嶽 康介加藤 頼子井上 潤一
著者情報
ジャーナル フリー

2015 年 18 巻 5 号 p. 664-668

詳細
抄録
防ぎ得た外傷死をなくすためには病院前救護のシステムと標準化が重要であり,本邦では2003年よりJapan Prehospital Trauma Evaluation and Care(以下JPTECTMと略す)プロバイダーコースがその役割を担ってきた。山梨県ではメディカルコントロール(Medical Control,以下MCと略す)協議会がJPTECTMプロバイダーコースの普及を行い,病院前外傷診療の向上に努めてきた。2003年のコース設立時より山梨県でもコース開催を開始し,Load & Go〔生命維持に関係のない部位の観察や処置を省略し,生命維持に必要な処置のみを行って一刻も早く外傷治療が可能な医療機関(救命救急センター等)へ搬送しなければならない症例〕対応の外傷症例をMC協議会の事後検証の対象とした。2005年からは救急車にJPTECTMプロバイダーの乗務を必須とした。山梨県の救急隊員の80%はプロバイダー資格を取得,更新しており,外傷救急事案の99.5%の救急車には,JPTECTMプロバイダーが少なくとも1人は乗務していた。今後は,災害時も見据えて消防職員以外の多職種への普及も重要となると思われる。
著者関連情報
© 2015 日本臨床救急医学会
前の記事 次の記事
feedback
Top