日本臨床救急医学会雑誌
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調査・報告
二次救急医療機関への常駐型ドクターカー導入効果
前野 良人
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2015 年 18 巻 5 号 p. 658-663

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抄録
目的:二次救急病院へのドクターカー導入効果を検証すること。対象と方法:2010年10月から2014年10月までに出動した385例を対象に,奈良市消防局出動記録と市立奈良病院診療録を検証した。結果:要請理由の2/3がCPAで,現場活動196件は当院から5km圏内および山間地域に局在していた。ドクターカーによる医療介入時間短縮は市街地症例で29分,山間地域症例では45分で有意差を認めた。救命センター搬送は14件と少なかった。自院搬送156例中,CPAが6割,内因性疾患が3割を占め,外因性疾患は1割未満であった。外来転帰は外来死亡64例,入院68例,帰宅18例,転送6例で,入院68例の転帰は自宅退院26例,死亡25例,転院17例であった。CPA症例の最終生存率はドクターカー関与症例で7%,非関与症例は3%で有意差は認めなかった。まとめ:ドクターカー導入はCPA症例に対して予後改善効果はなかったが,山間地域では市街地に比べて医療介入時間短縮効果があった。
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© 2015 日本臨床救急医学会
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