目的:日本およびネパールの救急医の看取り場所に対する意識を明らかにし,各国における人の終末期と救急医・医療の役割を検討する。方法:2014〜15年に,福島県立医科大学附属病院救急科の医師8名と,ネパール・チャウジャリ(Chaurjhari)病院の医師10名に対し,医療現場内/ 外で死者を見る頻度や,看取り場所として病院と家庭のどちらがふさわしいと考えるか,その理由等についてインタビューを施行し,各国の医療背景を基に回答を分析した。結果:ネパールでは医療現場以外で死者を見る頻度が有意に高く,日本では医療現場で死者を見る頻度が高い傾向があった。看取り場所として,救急医は日本,ネパールとも約半数が病院がふさわしいと回答した。結論:ネパールでは終末期と医療との関係は小さいが,日本においては人の終末期と救急医を含む医療との関係が大きいと示唆された。各国の医療や社会状況が,救急医の看取り場所に対する意識に影響していた。