2016 年 19 巻 5 号 p. 664-669
救急隊のトラブルの多くは,救急隊活動中の接遇もしくはインフォームドコンセントの不足や不良が原因で発生しているのが現状である。このことから,愛知県が実施している救急救命士再教育の受講者を対象に,トラブルに対する危機管理意識を向上させることを目的としたe-ラーニング学習とトラブルの傾向を集約するためのアンケート調査を実施した。その結果,救急救命士以外でトラブル発生の危険性が高いのは,救急隊長であることがわかった。また,トラブルが発生した時点については,その約3割が傷病者に接触する前から発生していたことなど,この調査によって,救急業務にかかわるトラブルの現状とトラブルを回避するために必要な個人的および組織的な課題を導き出すことができた。