1999 年 2 巻 3 号 p. 309-317
最近のDSA,helical CT,MRIをはじめとする画像診断の進歩には目覚ましいものがある。一方,従来は外科手術が優先されていた疾患に対しても,より侵襲の少ない画像を用いた治療法(interventional radiology:IVR)は飛躍的に進歩した。救急疾患に対してもIVRは必要不可欠な手技となり,出血性ショックを伴うような重症骨盤骨折では第一選択の治療法として広く認識されてきた。また,消化管出血や外傷等による出血症例に対する経動脈的塞栓術の有用性の報告は枚挙にいとまがない。しかしながら,IVRは適切な臨床診断および画像診断がなされてのみ有効となるため,救急医と放射線診断医の密接なパートナーシップが必要であり,その施行には放射線技師や看護婦をはじめとするコメディカルスタッフとの協力が得られてこそ,よい結果が得られると確信している。