日本臨床救急医学会雑誌
Online ISSN : 2187-9001
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原著
中毒原因物質分析の有用性に関する臨床的研究
近藤 留美子相馬 一亥浅利 靖上條 吉人島田 慈彦大和田 隆
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1999 年 2 巻 3 号 p. 343-348

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抄録

中毒患者治療においては,その診断が「状況聴取」といった不確実情報に根拠をおく場合が多い。そのため原因物質の分析の必要性が叫ばれている。そこで中毒が疑われた意識障害患者349名の原因物質の分析を行い,来院時の「状況聴取」との比較をし,分析の治療への重要性を調査した。来院時,中毒に関する情報がなかった患者は59例(16.9%)。そのうち分析が診断の手がかりとなったものは38例(64.4%)であった。一方,情報があった患者(290例)では80.0%(232例)が分析で確認が可能であり,情報からの推定原因物質と一致しなかったものは39例(16.8%)であった。そのうち36例(92.3%)において治療または患者ディスポジションの変更がなされ,重症中毒患者では情報がある場合にも分析は適正治療に貢献すると考えられた。また分析方法は,簡易なキットや測定機器でも対応しうるものであった。

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© 1999 日本臨床救急医学会
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