1999 年 2 巻 3 号 p. 349-354
救急医療支援策として,画像伝送システムで救急医療施設を一体化すると専門医数不足の解消,医療資源の節約,救命率の向上が期待される。今回,救急医療に積極的な4カ所の病院に画像伝送装置を設置し,佐賀医科大学救急部を中心とした病院間救急医療ネットワークを作り,研究者と協力施設との間で画像伝送装置の使用状況,および救急患者の紹介・転院状況などについて調べ,救急医療施設の医療資源の節約について検討した。延べ40カ月の運用にて画像伝送は救急医療に有益であり,1施設当たり月に8,000円の節約になることが概算された。救急患者の緊急搬送に付帯する保険点数に表されない費用に加え,その画像伝送システムの使用頻度を高めると,さらにその節約額は大きくなり,医療費が高騰する今日では本画像伝送システムが医療資源節約に有益であることが示唆された。