1999 年 2 巻 3 号 p. 365-368
経皮的気管切開法は,セルディンガー法を応用し経皮的に気管内へ通したガイドワイヤーに沿って気管切開チューブを挿入する手技で,従来の外科的気管切開法に比してより簡便で侵襲や合併症が少ないことが特徴である。しかし原法の手技では,わずかな皮下剥離をおくのみで盲目的に穿刺を行うために,血管や甲状腺・気管・食道などの損傷を起こす可能性がある。当センターでは1997年秋からポーテックス社製Percutaneous Tracheostomy Kitを用いた経皮的気管切開法を導入しているが,その際に気管支鏡を併用している。その結果,気管内の様子を直視下に観察することが可能で重篤な合併症は起きていない。そこで従来の気管切開法と本法を比較し,その利点および問題点を検討したので報告する。