1992年4月から1998年3月までの6年間に聖マリアンナ医科大学横浜市西部病院救命救急センターを受診した18歳以上の成人気管支喘息患者について検討した。受診延べ患者数は1995年から減少したが,心肺機能停止症例数の減少傾向はなかった。心肺機能停止症例は即座に蘇生された1例以外全例死亡したが,来院時呼吸停止状態かつ高度の徐脈や循環虚脱を呈した症例は,喘息が直接原因となる死亡例はなく完全回復した。両者の病型には差がなく,喘息発作死は心肺機能停止以前に医療機関に搬送されるか否かによって左右されると考えられた。アンケート調査では,喘息に悩む患者の姿とともに家族の喘息に対する認識不足が浮かび上がった。発作予防の自己管理や重積発作の認識などの患者自身への教育に加え,家族や職場での啓蒙により発作への理解と協力を得,心肺機能停止に陥る前に医療機関を受診することが,喘息発作死の予防の一因となると思われた。