日本臨床救急医学会雑誌
Online ISSN : 2187-9001
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ISSN-L : 1345-0581
調査・報告
温泉地域における入浴関連救急搬送事例の検討
地域特性からみた救急支援のあり方
熊田 恵介村上 啓雄吉田 実豊田 泉小倉 真治福田 充宏
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2017 年 20 巻 1 号 p. 18-22

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抄録

対象と方法:平成22年1月から平成26年12月末まで5年間の下呂市消防署管轄における入浴関連救急搬送事例と基幹病院へ搬送となった重症事例を対象に,重症度別,月別,時間帯別,要請元・発生場所別ならびに画像を含めた所見を回顧的に検討した。結果:全死亡例のうち入浴関連の割合は35.2%であったこと,月別では冬季に,時間帯別では夜間帯に重症例の発生件数が多かったこと,ホテル・旅館等と自宅等からの要請が多いこと,浴槽内での死亡例が多かったことが明らかとなった。また,重症例では血管系の内因性疾患が多く予後不良で,死後画像診断の実施率は80%で確定診断に至ったものは25.7%であった。考察:地方では温泉地など地域特性を明確化したうえで,関連諸機関が一体となった有効かつ効果的な救急医療支援策を講じておく必要がある。

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© 2017 日本臨床救急医学会
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