2017 年 20 巻 3 号 p. 539-544
はじめに:患者受け入れ困難に関する評価は4回以上の交渉を要した合計でなされてきたが,より効果的な評価方法として,指数近似曲線を用いた新しい評価方法を創出し,その妥当性について検証する。方法:重症受け入れ交渉回数の推移が,指数近似曲線の形態となると仮定し検証した。また,従来の評価方法と新評価方法とを比較検討した。結果:全国都道府県の救急搬送収容交渉状況は指数近似式で表され,その相関係数はR>0.83であった。さらに,受け入れ状況は,従来評価方法では大きく変動しているが,指数近似式から求められた減衰定数による評価ではy=0.011x+0.1816,R=0.922で表され,改善してきていることが判明した。考察:減衰定数を評価することが客観的な救急搬送受入実態の評価につながると考えている。今後多変数解析を行えば,変動に影響を与えた因子を検索することも可能であろう。