日本臨床救急医学会雑誌
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調査・報告
救命処置を希望しない意思を伝えられた場合の対応について
西本 幸夫
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2017 年 20 巻 3 号 p. 551-554

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抄録

病院前において,心肺機能停止状態の傷病者に対して救急要請により救急隊が出動した場合,救命を目的に救命処置を実施している。一方で,救急隊が傷病者に接触後,救命処置を希望しないという意思を家族から伝えられる場合や,延命治療拒否(以下,DNAR)の書類を掲示される場合も存在する。そうした中,広島市消防局においては,「救急隊現場活動プロトコール」に基づき主治医に連絡を取るように努め,主治医から「CPRを行わない」旨の指示が取得された場合に限り心肺蘇生を中止することを文書で示し対応している。しかし,全国的に救命処置を希望しない場合の心肺蘇生の実施の有無については明らかでない。今回,広島市消防局での取り組みを報告することで,心肺機能停止状態の傷病者に救命処置を希望しない意思を示した事例に対する現状を明らかにする。そこで今後は,標準的な活動基準等の指針作成について全国的な展開が図られることを望む。

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