日本臨床救急医学会雑誌
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調査・報告
一過性意識消失を主訴とした患者に対する頭部CTの必要性の検討
菅沼 和樹大原 和人岩倉 賢也中谷 充志賀 一博矢野 賢一淺井 精一早川 達也
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2017 年 20 巻 4 号 p. 588-591

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抄録

はじめに:一過性意識消失を主訴に救急搬送される患者に対して頭部CTが施行される頻度は高い。だが,そのなかには実際は不要な例も数多く含まれていると考えられた。当院での実態を調査した。方法:2013年4月から2015年10月までに一過性意識消失を主訴に救急搬送された全患者を対象とし,頭部CTが施行された割合,CTで有意な所見を認めた割合,診断名などを後方視的に検討した。頭痛,神経学的異常所見を認める例などは除外した。結果:全475例中,頭部CT施行は405例であった。CTで有意な所見を認めたのは8例のみであり,内因性頭蓋内疾患は1例も認めなかった。一過性意識消失の原因としては神経調節性失神が最多であった。考察:一過性意識消失の原因として内因性頭蓋内疾患の割合は低いにもかかわらず,頭部CT施行率は非常に高い。詳細な問診や診察によってもっと減らせるものと考えられた。

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