日本臨床救急医学会雑誌
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原著
集中治療室専任薬剤師の常駐体制によるバンコマイシンTDMの介入効果
田坂 健東恩納 司三上 奈緒子日野 隼人大川 恭昌武本 あかね河崎 陽一村川 公央北村 佳久千堂 年昭
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2017 年 20 巻 5 号 p. 638-643

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抄録

目的:薬剤師が集中治療室に常駐し,積極的に塩酸バンコマイシン(以下,VCM)の治療薬物モニタリング(以下,TDM)介入を行うことによる効果を明らかにする。方法:薬剤師が常駐する前後で2群に分け,レトロスペクティブに調査を行った。結果:薬剤師の常駐によりVCM血中濃度測定実施率は86.2%から96.5%,シミュレーション解析実施率は24.1%から95.4%へ有意な増加を認めた。血中濃度分布は,トラフ値10μg/mL 未満の割合が24.1%から15.1%へ有意に減少した。一方でトラフ値20 〜25μg/mLの割合が3.7%から15.7%へ有意に増加していた。また,腎障害の発生率は6.5%から2.1%へ減少傾向を示した。結論:ICUにおいて専任薬剤師がVCMのTDM介入を行うことで,TDM実施率の向上とトラフ値が適正化され,VCM適正使用に貢献できることが示唆された。

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© 2017 日本臨床救急医学会
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