2017 年 20 巻 5 号 p. 678-681
非外傷性腎被膜下血腫は,抗凝固薬使用中の患者や維持透析を受けている患者で発症することが多い。今回われわれは,救急外来を受診し保存的加療で軽快した2例の非外傷性腎被膜下血腫を経験した。1例目は75歳の男性で維持透析中の患者であり,突然の右腰背部痛で発症した。CTで腎被膜下血腫と診断し,保存的加療で軽快した。2例目は,心房細動に対しワルファリンを内服している80歳の男性で,左側腹部痛で発症した。貧血の進行を認めたため輸血を要したが,入院経過は良好であり安静にて軽快した。非外傷性腎被膜下血腫は,抗凝固薬使用による影響や腎囊胞の破裂が多いとされているが腎腫瘍からの出血の場合もあり,再発もみられるため厳重な経過観察が必要である。