日本臨床救急医学会雑誌
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原著
外傷を伴う自殺未遂者に対するリハビリテーションを目的とした転院支援の現状と課題
寺田 祥子萩原 章嘉藤谷 順子木村 昭夫
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2018 年 21 巻 4 号 p. 555-559

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抄録

われわれはリハビリテーション目的(リハ目的)での自殺企図患者の転院が困難な原因について検討したので報告する。2013年4月1日〜10月31日までに救命救急センターに入院した自殺企図外傷患者(自殺患者)と,同時期に入院した非自殺外傷患者(非自殺患者)のなかで,リハ目的での転院調整に負の影響が大きいと考え得る4項目(意識レベルの状態・感染症の有無・安静度の程度・医療保険の種類)をマッチさせ,各12人に9つの検討項目を調査した。平均入院期間は自殺患者群40.7日,非自殺患者群で22.9日であった。回復期リハビリテーション病院(回復期リハ病院)の転院は,自殺患者1人,非自殺患者5人であった。精神科通院歴は自殺患者9人,非自殺患者1人であった。自殺患者は,入院期間が長くなり,精神科通院歴も多く,回復期リハ病院への転院が難しかった。本研究から,自殺企図患者が回復期リハ病院へ転院しづらい理由は,精神科通院歴,自殺企図であると考えられた。

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