日本臨床救急医学会雑誌
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症例・事例報告
非定型的縊頸による両側椎骨動脈領域梗塞の1例
横室 浩樹田巻 一義一林 亮豊田 幸樹年吉原 克則本多 満
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2018 年 21 巻 6 号 p. 740-743

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抄録

非定型的縊頸による頸部血管損傷の剖検例は散見されるが,血管損傷がなくても圧迫による血流障害から脳虚血に陥ることが指摘されている。症例は59歳男性。2階ベランダ手すりから後頸部に索状物が掛かり,両足が地上から離れた状態で発見された。搬送中の心肺停止から蘇生し,MRIでは頸椎の骨折・脱臼,脊髄損傷は認めなかった。入院後8時間で呼吸停止,頻脈となり脳CT検査では小脳を中心とした広範囲の脳梗塞を認めたが,three-dimensional CT angiography(3D-CTA)では頸動脈に異常所見は認めなかった。本症例は,両側椎骨動脈圧迫による広範囲脳梗塞と診断したが早期診断には至らず死亡確認となった。後頸部を中心とした非定型的縊頸症例に対して頸椎・頸髄損傷を前提に頸部血管損傷も念頭に置き,3D-CTAなど画像診断を中心としたその評価が重要であると考えられた。

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© 2018 日本臨床救急医学会
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