日本臨床救急医学会雑誌
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症例・事例報告
創部より気管挿管された完全気管断裂に対して経口気管挿管を施行した1例
林 実村崎 岬谷崎 眞輔石田 浩今井 寛
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2018 年 21 巻 6 号 p. 749-751

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抄録

背景:鋭的外傷による完全気管断裂はまれであり,気道確保は困難であることが多い。今回われわれは鋭的外傷による完全気管断裂にて,創部からの気管挿管を経口気管挿管へ変更することを経験したので報告する。症例:72歳男性。農作業中に草刈り機の刃による頸部裂創にてドクターヘリ要請された。医師接触時,挫創部より直視にて完全気管断裂しており,現場にて創部より気管挿管され三重大学医学部附属病院へ搬送された。来院後に経口気管挿管へ変更する方針となった。まず断裂した遠位気管の2時と22時方向に針糸をかけてつり上げ保持固定した。その後に経口挿管し,近位気管断端より気管チューブを鑷子にて遠位のつり上げた気管へチューブを誘導し,問題なく経口気管挿管することができた。結語:鋭的外傷に伴う完全気管断裂に対して,遠位気管をつり上げ保持することにより,創部からの気管挿管を経口気管挿管へ安全に変更することが可能であった。

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