日本臨床救急医学会雑誌
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症例・事例報告
両側頭蓋内血腫をきたしたが,集学的治療で良好な転帰が得られた重症頭部外傷の1例
奥田 和功
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2019 年 22 巻 1 号 p. 69-74

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抄録

30代女性が自転車で交差点を走行中,車と接触し受傷した。ドクターカーでの現場診察ではprimary surveyで気道・呼吸・循環は問題なく,Glasgow Coma Scaleは7点で,左不全麻痺を認めた。挿管,人工呼吸を開始し搬入し,全身のcomputed tomography(以下,CT)で右急性硬膜下血腫など多発外傷と診断した。頭蓋内圧センサーを留置したところ43mmHgと高く,直後のCTで左側頭骨骨折部に硬膜外血腫が出現した。左開頭血腫除去,外減圧術を行った。術後CTでは右硬膜下血腫の増大なく,搬入後8時間40分で集中治療を開始した。第12病日に人工呼吸器を離脱,第35病日に左頭蓋形成術を施行,第45病日に自宅退院できた。今回,直達損傷に伴う左急性硬膜外血腫を手術し,集中治療により頭蓋内圧が制御できた。対側損傷である右急性硬膜下血腫への開頭術は必要なく保存的に治療できた。

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© 2019 日本臨床救急医学会
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