日本臨床救急医学会雑誌
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調査・報告
3カ月間に倉敷市内で救急要請された用水路転落症例の全例調査報告
市川 元啓池上 徹則
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キーワード: 水路, 転落外傷, 外傷予防, 側溝
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2019 年 22 巻 3 号 p. 507-512

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抄録

背景:岡山県第2の都市である倉敷には多数の用水路があり,市内では転落外傷や溺水で多くの患者が搬送されているが,被害状況を明らかにする調査はなされたことがなかった。われわれは倉敷市消防局の協力を得て市内全域で用水路転落の被害を明らかにするための調査を行った。方法:2015年11月〜2016年1月の3カ月間に市内で発生した用水路転落による救急要請を全例対象とし年齢,性別,受傷機転,受傷時間,重症度を調査した。結果:対象期間中に発生した用水路転落による救急要請は35例,半数近くの17例は65歳以上であった。受傷機転では自転車がもっとも多く,次いで歩行者であった。半数以上の18例は夜間の受傷であった。多くは軽症例だったが重症例も3例,死亡例も3例あった。死亡例はいずれも院外心肺停止症例で2例は溺水,1例は頸髄損傷が死因であった。結語:倉敷市では多くの用水路転落症例が発生しており予防のための対策が急務である。

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© 2019 日本臨床救急医学会
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