日本臨床救急医学会雑誌
Online ISSN : 2187-9001
Print ISSN : 1345-0581
ISSN-L : 1345-0581
調査・報告
広島市消防局における蘇生処置中止希望を表明した心停止傷病者38例の報告
細川 康二西田 優衣吉野 雅人岸田 正臣久保 富嗣山賀 聡之志馬 伸朗
著者情報
ジャーナル フリー

2019 年 22 巻 3 号 p. 513-516

詳細
抄録

背景:広島市消防局では,心停止傷病者で主治医から心肺蘇生を行わない(DNAR)よう指示されれば蘇生処置を中止する運用がされてきた。本調査の目的は,現状を把握し課題の有無を明らかとすることである。方法:2015年4月からの2年間,同局管内で医療機関搬送までに蘇生処置中止希望が表明された心停止傷病者について,救急救命処置録等の情報を解析した。結果:対象は38例であった。蘇生処置中止希望は文書で1例,ほかは口頭で確認され,87%で主治医か主治医の属す医療機関の医師から確認された。医師よりDNAR指示が出されたのは63%であり,37%で主治医が現場に出向するため不搬送となった。結語:広島市消防局において救急要請後に蘇生処置中止希望が確認される事例では,蘇生処置の中止希望は文書で確認された1例を除くすべてが口頭で確認され,約6割で医師よりDNAR指示が出されていた。救急要請される背景をさらに調査し対策する必要がある。

著者関連情報
© 2019 日本臨床救急医学会
前の記事 次の記事
feedback
Top