2019 年 22 巻 4 号 p. 567-572
背景:熱中症の対策として,地域特有の生活習慣を考慮しなくてはならないが,東京都内の非重症例を含めた熱中症の一定規模の疫学調査はこれまで行われていない。2020年の東京オリンピック・パラリンピック競技大会に向けて,軽症熱中症患者の実態を検討する必要がある。対象:2016年4月1日〜9月30日に東京共済病院を受診した軽症熱中症患者82名の発症状況と臨床症状,重症度,治療内容,転帰との関係を後方視的に分析した。結果:日常生活と電車・自転車の発症が多く,とくに午前中の電車で若年女性の発症が多い傾向があった。臨床症状としては,日常生活では体動困難,電車では失神,屋内労働では手足のしびれが多かった(p<0.05)。ほぼ全例で500〜1,000mL 程度の補液と2時間程度の休憩を行い,熱中症の臨床症状は改善して,良好な転帰を得ていた。結語:本研究の特徴を踏まえた,今後の調査と対策が必要である。