目的:二項目の処置拡大により救急救命士の静脈路確保(intravenous approach;IVA)の機会が増加し, このことが手技の成功率に及ぼす影響を明らかにする。方法:茨城西南地方広域市町村圏事務組合消防本部の2014年1月1日〜2016年12月31日までの処置拡大二項目の実施記録とウツタインデータから後ろ向きに調査した。結果:処置拡大前後の全IVA成功率は52.2から63.2%に上昇した(p<0.01)。心肺停止例(cardiopulmonary arrest;CPA)に限定しても52.2から63.8%と有意に上昇していた。また,対象別にみたIVA成功率はCPAで58.5%ともっとも低く,低血糖で78.5%と有意に高かった。考察:処置拡大により救急救命士がIVAを実施する機会が増加したことで,全IVAの成功率のみならず,CPAに対するIVA成功率も改善することが示唆された。