沖縄本島最北部において,皆伐が林床面に及ぼす影響が最も明瞭に出現すると考えられる土壌含水率と地温に焦点を当てて,皆伐地と隣接する林分内の多点で表層土壌環境測定を実施した。皆伐の影響を詳細に把握するために,45地点で土壌断面調査や土層厚測定を実施し,各地点の土壌型,微地形単位,表層土層厚を明らかにした上で,そのうち皆伐地と隣接林分内の34地点における土壌含水率・地温の違いやそれぞれの季節変化について検討した。その結果,冬季を除き土壌含水率と地温は皆伐地と隣接林分で明瞭な違いが認められ,特に尾根部と谷部の境界付近に位置する谷頭凹地で,土壌含水率の差は10%弱に達した。皆伐地内の斜面上部と下部では,隣接林分との土壌含水率の差は大きく異なり,皆伐前は湿潤であったと考えられる斜面下部でより乾燥が進み,弱乾性黄色土(YC型)も出現していた。斜面下部の流路沿いの部分は,バッファーゾーン(土砂流出防止保護樹帯)として特に熱帯域では伐採が制限されている。沖縄本島を含む亜熱帯島嶼域で皆伐(主伐)を行う際には,より乾燥しやすい斜面下部を保護樹帯として残す形の施業が望まれる。