2019 年 22 巻 5 号 p. 703-708
背景:2010年に厚生労働省よりチーム医療の推進について「画像診断等における読影の補助」という通知が発出され,済生会熊本病院では2011年より時間外救急CTに対し,診療放射線技師による一次読影の運用を開始した。放射線科医師が不在となる時間外において,院内で定義した緊急所見の報告体制を構築し運用することになった。目的:本体制により救急外来の医師の緊急所見認識までの時間短縮に貢献できるようになったかを評価する。方法:電子カルテや放射線部門システムより数値データを抽出し,緊急所見発生時の報告率や医師が電子カルテに所見を記載するまでの所要時間を調査した。結果:緊急所見報告率は開始2年で5%から95%まで上昇し,緊急所見報告を行うと医師が電子カルテへ所見を記載するまでの所要時間を短縮できたことがわかった。結論:本取り組みは,救急外来の医師がCT画像における緊急所見を早く認識することに寄与した可能性を示していると考えられる。