日本臨床救急医学会雑誌
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調査・報告
救急救命士の標準予防策の現状と課題
下村 清隆田中 治美加藤 正哉
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2019 年 22 巻 5 号 p. 697-702

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抄録

救急救命士は傷病者の体液などに接触する機会が多く,標準予防策を実践することは重要な課題である。今回,救急救命士の標準予防策の現状を調査し,今後の課題を検討した。伊都消防組合消防本部(以下,当消防本部)の救急救命士8名を対象に,標準予防策の理解度と実践状況のアンケート調査を行ったところ,標準予防策を理解し実践しようと努力していると考えられた。しかし,実際の現場活動ではその実践は不十分であることがわかった。救急救命士は,養成機関で感染対策を学んでいるが,その教育体制は十分でなく,再教育もほとんど受けていない。また,災害現場や救急車内といった,危険の多い劣悪な環境下での活動を強いられるため,標準予防策を実践するためには,より高度な意識づけが必要である。消防本部における感染対策マニュアルの作成をはじめ,病院前救護活動における感染対策をよりよいものにするために,医療機関との連携を活用することが効果的である。

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© 2019 日本臨床救急医学会
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