日本臨床救急医学会雑誌
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全国消防本部へのアンケート調査からみえる脳卒中病院前救護の現状と課題
有村 公一黒木 愛西村 中坂本 哲也飯原 弘二
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2019 年 22 巻 6 号 p. 776-783

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抄録

目的:本邦における脳卒中病院前救護の現状は不明であり,全国的な調査が必要である。方法:本研究では全国の消防本部を対象としたアンケート調査を実施した。病院前診断,医療機関情報,搬送手段,ICT,脳卒中最新治療の周知状況,事後検証・再教育体制などについてアンケート項目を設定した。結果:PSLSおよび病院前脳卒中スケールの活用率はそれぞれ47.6%,59.9%であった。半数以上で管内に常時血管内治療が可能な施設がなく,ドクターヘリは53%で活用されていた。ICTは41.1%で導入されていた。また脳卒中最新治療の認知は33.9%にとどまっていた。搬送先病院との事後検証は72.6%で行われていたが,地域MC協議会の事後検証の半数以上に脳卒中専門医が関与していなかった。結論:脳卒中病院前救護の標準化,地域格差の是正,医師と救急隊とのより積極的な情報共有などが必要であると考えられた。

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© 2019 日本臨床救急医学会
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