日本臨床救急医学会雑誌
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症例・事例報告
ライオンによる外傷の初期画像診断に関する報告1例
水津 利仁水野 正之阿部 雅志松本 尚
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2020 年 23 巻 1 号 p. 52-57

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抄録

諸外国(アフリカやインドなど)では遭遇する機会もまれではないが,わが国ではきわめてまれなライオンによる外傷を経験したので報告する。わが国では大型の野生動物による外傷といえばクマによる外傷の報告が多く,頭頸部と顔面から胸部までの上半身に与える損傷が大多数である。本症例はクマによる報告同様,頭部と頸部に受けた損傷が大きく,それ以外の部位では擦過傷程度であった。また,クマによる外傷は殴打による爪外傷の報告が多いのに対し,ライオンは牙による咬傷が多く,受傷形態はイヌ・ネコによる咬傷に近い。クマとライオン,イヌ・ネコとライオンそれぞれの外傷の類似点を踏まえ,今後同じような症例に遭遇した場合,造影CT検査を行ううえでの撮影法とその考え方について考察した。

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© 2020 日本臨床救急医学会
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