2020 年 23 巻 2 号 p. 162-167
東京都区西北部に位置する当院は1971年9月の開院以来,医学部附属の総合病院として幅広い患者を受け入れてきた。2017年1月には高度救命救急センターの指定を受け,東京都の二次医療圏内のみならず,都外からも患者を積極的に受け入れている。今後も増えつづける重症救急患者を断らずに受け入れるために,地域医療機関との連携が不可欠であるが,当院では2010年から救命救急センター専従の医療ソーシャルワーカー(medical social worker:以下,専従MSW)が配属されており,MSWの専従化により救命救急センターの滞在日数がどのように変化したかを検証した。年間受け入れ患者数はMSW専従化前より大幅に増加したが,応需率も上昇した。一方で患者の救命救急センター滞在日数は短縮し,病床満床日は減少した。専従MSWが救命救急センターの医療チーム内で果たす役割は大きく,満床日の減少,応需率の向上,滞在日数の短縮をもたらし,常に新たな重症救急患者を受け入れつづけるという救命救急センターの社会的使命の実現に寄与することができた。