日本臨床救急医学会雑誌
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調査・報告
高度救命救急センターにおける中毒起因物質に対する機器分析業務構築の現状と問題点
今中 翔一桑原 達朗永島 一輝榎本 弘美大貫 隆広金子 一郎三宅 康史坂本 哲也安野 伸浩渡邊 真知子
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2020 年 23 巻 5 号 p. 711-716

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抄録

2017年6月より高度救命救急センターにおいて多成分一斉分析法の中毒起因物質に対する機器分析業務を開始した。機器分析業務の現状を報告し問題点を考察する。2017年6月〜2019年2月に急性薬物中毒やその疑い,意識障害で高度救命救急センターに搬入された患者のうち救急医より依頼があり機器分析を行った患者220例を対象とした。測定結果,依頼から測定結果までの時間などを調査した。平日日勤帯(55例)における依頼から測定結果までの所要時間は中央値3.3時間であった。測定理由は急性薬物中毒やその疑いが150例(68%)であった。意識障害の鑑別が70例(32%)あり,うち急性薬物中毒のみが原因と判明した症例が4例あった。機器分析業務は急性薬物中毒患者に対する治療方針決定の補助や意識障害患者の鑑別に使用されていると考えられた。一方,24時間体制を構築すること,分析者の解析能力の育成・向上が今後の課題である。

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